『何もかも憂鬱な夜に』中村文則:共感出来るか否かが鍵

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今週の書評は中村文則さんの『何もかも憂鬱な夜に』です。

中村さんの作品は『悪意の手記』を読んで以来の2作目ですね。

前にも思ったことなのですが

中村さんの作品は非常に人を選びますね。

ドンズバな人はとことんはまりそうですし、

逆にはまらない人はとことんはまらないというか。

どんな作家だってそりゃそうだろ!といわれるとまあそうなんですが、

この人の作品はその傾向がかなり強いんじゃないかなあと思いました。

そして今見返したら『悪意の手記』の感想で、

僕は中村さんが好みの作家だと言っていますね。

『悪意の手記』は殺人を犯してしまった主人公の葛藤を巧みに描いていて

非常に面白く読んだのですが

正直この『何もかも憂鬱な夜に』は

『悪意の手記』と比較するとちょっと見劣りするなあという感想です。

いやなんだかキャラクターにあんまり魅力を感じなかったんですよね。

物語は刑務官である主人公が

過去に起きた親友の自殺や

死刑が確定間近の未決囚とのやりとりを通して

かつてより感じていた己の中の違和感・カオスに向き合っていくという内容。

うーん、おそらく僕があんまりキャラに魅力を感じなかったのは

主人公が何に対してこんなに思い悩んでいるのかが今いち伝わってこないというか

自分ごと化できなかったのが原因かなと。

物語の主人公に対して自分ごと化できないって別に悪いことじゃないし

憧れや尊敬の念を抱くようなキャラを自分ごと化できないのは

当たり前のことなので問題ないと思います。

でもこういう一般的というか

主人公への共感ありきの作品で

自分ごと化できないとやっぱり楽しむのって難しいですよね。

『悪意の手記』は病気かつ人を殺してしまうという禁忌を犯した主人公だったので

その要素がなくても大丈夫だったのですが

この物語の主人公は彼の内面の悩みやカオスに対しての共感が楽しむ上での前提だと思うので

僕にはあんまり響きませんでした。

なので僕の中村さん評は次回作まで持ち越しという感じです。(非常に偉そうで恐縮ですが)

ただ芥川作家であられる又吉さんが文庫版の解説を書いていて

なんなら帯のコメントまで書いているのですが

そりゃあもう大絶賛されています。

当たり前ですがこの主人公に共感出来る人も当然いると思うので

その層にとってはとても面白んじゃないですかね?

中村さんの作品、次は何を読もうかなあ。

次回作で自分の中でのお気に入り作家になるかそうでないかがはっきりしそうだなあと感じ。

お気に入りの作家さんて中々見つけるのが難しかったりするので

次の選定は慎重にしていきたいと思います。笑

したっけ、またね!

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