『快挙』白石一文:この憧れを10年後には共感に

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今週の書評は

白石一文さんの『快挙』。

最近、これまで読んだことがない人の開拓が意図せず進んでいますね。

本屋に行ってなんとなく手に取って買ってみるという

ジャケ買いというかなんというかって感じが

最近の購入スタイルです。

白石一文さんは直木賞作家さんなので

もちろんお名前は存じあげていたのですが、

これまで縁がなく未読だった方の一人。

今回の『快挙』が白石ワールド初体験だったのですが、

いやー、やっぱりこの世の中には自分が知らないだけで面白い本を書く人はたくさんいらっしゃるんですね。

これまで未読だった自分を恥じたい気分です。

なんというか、

エンタメ全開で

めちゃめちゃ引き込まれる!っていうような作風ではなく

じわじわと自分の芯の部分に染み込んでいくような作品を書かれる(少なくとも『快挙』は)方なんだなあと思いました。

そしてこういう作品を楽しめるようになったのは

自分が少し大人になったからなのかなあと。

多分、

高校生の頃の自分が読んでもイマイチぴんとこないだろうなあと思います。

そういう意味では読書って終わりがない。

素晴らしい趣味ですよね!

歳を重ねれば重ねるほど楽しめる作品が増えていくなんて本当に素晴らしい!

さて肝心の『快挙』の内容ですが、

とある夫婦の出会いから中年と呼ばれる年齢までの人生をじっくりと描きながら

人生の快挙とはなんなのか?そして自分が大事にしなくてはいけないものはなんなのか?ということを表現している作品になっています。

作中で主人公の俊彦は、

自分の人生の快挙は

妻であるみすみと出会い、それを特別な出会いだと直感的に理解したこと。

そして彼女の神戸で不貞を気づかないふりをし、一緒に東京に戻ったことだと考えます。

なにものかになること、小説で評価されることよりも

自らの妻の方を大事にし、

彼女が病に犯されたとき

自らの小説での快挙を捨てることで願掛けを行う。

この小説の素晴らしいところは

一組の夫婦のありのままの日常を

いい部分も汚い部分も含めてしっかり描きながら、

それでもここまで大切に思える人がこの世の中のどこかに存在していると

読者に憧れの気持ちを持たせることに成功している点だと思います。

こんなに嫌な所がたくさんあるのに

それでも自らの社会的な快挙を投げ捨てでも一緒に生きたいと思うような人がいる。

こんな夫婦に自分もなってみたい。

こういう気持ちを読後に味わうことができるのが

芯に響くなんとも言えない

ああいい小説をよんだなあという感想に繋がるんだなあと。

人に受け入れられる物語って

憧れ、共感、禁忌という三つの要素のどれかが必ず必要だと僕は思っているのですが

『快挙』の場合、

僕にとっては間違いなく憧れでした。

それが共感である人もいると思いますし(まあ禁忌はないはず)、

できれば僕も10年後には共感の感情を持てるようになりたいなあと

そんな風に思わせてくれる小説です。

なんかホッとしたいなあとか、

いい話が読みたいなあと思っている方必見なので是非読んでみてくださいねえ。

したっけ、またね!

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