『鍵のない夢を見る』辻村深月:男女で意見が異なる作品

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本日は書評です。

辻村深月さんの直木賞受賞作、『鍵のない夢を見る』。

僕は辻村さんの作品が結構好きで、

他にもいろいろ読んでいるのですが、

一番好きなのは『スロウハイツの神様』ですね。

あれは一種の王道漫画的な作品というか、

天才がいて、それに勝とうとする人がいて、正体を隠している人がいて、恋があって、それらがすべて同じ場所で完結していて。

映画やドラマでも映えそうな作品だと思っていました。

そこにいくと今回の『鍵のない夢を見る』はかなり大人な内容。

まあだからこそ直木賞を取れたのかもしれませんが、

なんというか辻村さんってこんな作品も書けたんだあと、

失礼ながら意外に思いました。

5つの短編からなるお話なのですが、

全体のテーマとして「痛い女」というワードがあるかなと。

それぞれのストーリーの主人公はみな痛い女です。

かつての友人の罪をずっと忘れない女、自分を悲劇の主人公とみなしている女、DV男から離れることができない女、自立できない男にどうしてもすがってしまう女、育児に執着する女。

ただ僕たち読者がこの主人公たちを痛い女だと思うことができるのはメタ的な視点を持っているからであり、

彼女たちの周りの状況を冷静に判断できるからなんですよね。

言い換えれば自分だって彼女たちのように痛い女なのかもしれないし。

主人公たちはそれぞれに必死です。

必死で各々の状況をなんとかしようともがいている。

そのもがく様が客観的に見ると痛く見えてしまう。

この物語が面白いのはそんな痛い女たちの描写がリアルで、

いるよなあ、こういう人という読者にメタ的な優位のある視点を与えることに成功しているからだと思います。

女性が見るとまた違った感想になるのかもしれませんが、

少なくとも男性の僕はそんな風に思いました。

ちなみに僕は『石蕗南地区の放火』が5つの中でが一番好きでした。

主人公の自意識過剰っぷりが、「うわー、痛い!でもいる!絶対いるはー、こういう人!」と思わせてくれます。

ただ人によって、

また男女によって好きな作品が大きく異なってきそうな作品だと思います。

このあと僕もいろいろなレビュー見て、

こんな感想もあるんだなあと参考にしたい思いました、

したっけ、またね!

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