『私と踊って』恩田陸:郷愁から恐怖まで

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

いやー、お休みだと読書が捗りますね!

僕はあんまりカフェとか図書館だとページが進まないタイプで、

移動しているときの乗り物の中なんかが一番集中できます。

電車の音とか、乗客が周囲に気を使いながら話す声のトーンなんかが、

集中するためのちょうどいいラインなんでしょうね。

さて恩田陸さんの文庫、『私と踊って』。

何を隠そう、

僕は恩田さんの大ファンで。

おそらくこれまで出版されている作品は全て読んでいると思います。

今でも覚えている、恩田作品との出会いは小学生のとき。

祖母と二人で旅行に行って、帰りに好きな本を買ってあげると言われたんですよ。

昔からよく本を読む子どもだったので、喜んで、夢中になってどれがいいかなって選んでいました。

そのとき、

パッと目に入ってきたのが、

セーラー服を着た少女が前面に描かれている文庫の表紙。

そう、恩田さんの名著、

『六番目の小夜子』でした。

なんとなく恐ろしげな少女の表情と、印象的なタイトルに惹かれてその本を買ってもらい、

帰りの電車では夢中になって読んだことを、とても印象深く覚えています。

で、その出会いから約15年程の時間がたち、

今でも新刊が発売されるたびに直ぐに購入しているのですが、

恩田作品を語る上で重要なキーワードが3つあると僕は思っています。

一つ目は「記憶」。

登場人物はみな、自分の記憶に関してなにかしらの不安・不満を抱えており、

それが物語の鍵になっている作品が多いです。

二つ目は「少女」。

『六番目の小夜子』や本屋大賞受賞の『夜のピクニック』、『麦の海に沈む果実』を始めとする理瀬シリーズなど、

恩田さんの作品には魅力的な少女が必ずといっていい程登場します。

どこか秘め事がある、彼女たちの怪しげな魅力が恩田作品をよりひきたてていると思います。

そして最後のキーワードは『示唆』。

恩田さんの作品の特徴に、物語を全て語らないということがあると思います。

様々な解釈が考えられる結末を用意し、

最終的に読者に委ねる。

あの焦らされている感がファンにはたまらないし(まあ時々、そこで終わるの!?ってなることもありますが)、

ファンじゃない人にとってはあれ?終わり?と不満が溜まるんだろうなあと。

そして今回の『私と踊ろう』ですが、

恩田さん久し振りの短編集ということもあり、

キーワードの最後にあげた『示唆』がこれでもかというくらい散りばめられています。

このまま長編入れるでしょ!ってくらい物語の導入だけ描いて終わっている作品の多いこと。

もちろん中にはきちんと完結してるものも多いんですが、

この焦らされいる感、

いやー、たまりませんね。笑

またちょっと違う視点での示唆として、

『東京の日記』という話はとても面白かった。

書かれたのは2010年のことらしいですが、

恩田さんの予言者っぷりがすさまじい。

また暗にGoogleの進歩を揶揄しているというか、

情報がまるごと管理されいる時代にたいして、

行きつく先はこんな世界なんじゃない?という恩田さんの皮肉がとても面白かったです。

様々なジャンルを偏りなく描くことのできる恩田さんだけあって、

ノスタルジーからホラーまで振り幅の広い感情を一冊で味わうことが出来る作品になっています。

ただ恩田陸初心者は別の作品から始めた方がいいかな?

焦らされている感が受け入れられない人もいると思うので。笑

したっけ、またね!

スポンサーリンク

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
スポンサーリンク

コメントをどうぞ

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です