『コンビニ人間』村田沙耶香:現代のマニュアルを明文化した作品

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小説を読んで、衝撃を受けた。

面白いなとか深いなとか

感情を動かされることはよくあるのだけれど

うわー、すげーと思いながら小説を読むという体験。

ちょっと過去のどの作品でこれと同じことを感じたか思い出せない。

ということはもしかすると初の体験なのかもしれない。

村田沙耶香さんの『コンビニ人間』はまさに自分にとって衝撃作だった。

舞台はとある街のコンビニ。

大学一年生でアルバイトとして働き始め

以来18年間ずっとそのコンビニで人生の大半の時間を過ごして言いる主人公の古倉恵子。

コンビニ店員としてのマニュアルを守ることでしか

社会の中で自分の存在をみつけることができない彼女と

その店員仲間、そして彼女の家族を描いた作品なのですが

もうこの主人公が最高にいい。面白い。

普通の人の考える常識が理解できず、

それによって子どもの頃から他者とのコミュニケーションをとることができなかった彼女。

小鳥が死んでいるのをみて

父親のためにそれを焼き鳥にしようと提案する小さい頃のエピソードからしてぶっとんでいる。

自分の考えが人と違うことを理解してからは

社会の中で自分の居場所をどう見つけるかを模索してた彼女が

コンビニというシステム化されまくった世界をみつけたのは必然だったんでだろうなと。

で、

もちろんこの主人公が面白いのもこの作品の魅力の一つなのですが

僕が最も衝撃を受けたのは

現代社会で誰もかなんとなく感じていること、

“誰もが生きる上で明文化されてないマニュアルを守ることに必死になっている”ということを

そのマニュアルの存在が分からない人間を主人公にすることで

明確に描き出すことに成功していることです。

例えば30代の女性は結婚するか、正社員として働いていなくてはいけない。

これって別にどこにもそんな法律はありません。

でもそのどちらかにハマっていないことはおかしなことだ。

という風潮が今の社会にはあります。

でもそれがルールだということは誰も言及しない。

だってそれが社会の常識ってものだから。

今の社会の成功像や勝ち組像みたいなもの。

それを目指すことが当たり前だという風潮。

なんとなく自分がおかしいよなあと思っていたことを

小説という手法で明文化されたことに僕は衝撃を受けたんだと思います。

主人公と対になる存在として

マニュアルの存在には気づいているものの

いわゆるスペックの問題でそれを守ることができない男を登場させたのもいいですよね。

これによって主人公の特異さがより際立っています。

村田さんの作品って初めて読んだんですが

ちょっとこの衝撃を忘れることができないと思うので

過去作ふくめ2017年は色々読んでみようと思います。

したっけ、またね!

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